農作物の殺菌剤や殺虫剤の減量と抜群の効果、深層水、重宝してます!(余市町)

ここ最近、岩内深層水がもっと農業に利活用されないかと考え、注目したのが、深層水の脱塩水を10年以上使い続けておられる余市町の馬場農園さんでした。

今日は、その余市の馬場農園さんに伺いました。
「うちの農地は、1ヘクタール。ここで30年以上、今は環境循環型の農業っていうのかな、大地の中の菌や作物が健康に生きられる環境を考えながらね、フルーツトマトと他の野菜を作っているんだよ。
そう、深層水は使い始めてもう10年以上になるな。きっかけは曙さんってね、この地域では誰よりも農作物のことをよく知ってた農家さんがいて、もう亡くなったけどね、彼が紹介してくれたんだ。
菌から来る病気を防ぐための殺菌剤や、スリップスやアブラムシなんかの殺虫剤を作物に噴霧しなきゃならないんだけど、水の替りに深層水の脱塩水を使ってるんだよ。
トマトとかピーマンとか、脱塩水を使うと、植物のなかに入っていく力っていうか、浸透力が水とは断然違うんだよね。ほんと薬も最低限の量で済むし、花の間やへたの中まで浸み込んで、害虫の駆除なんか完璧にできるんだよ。この間は、知り合いの農家さんがアブラムシがモロコシの葉の間にまで入り込んで、普通のやりかたじゃもうだめだって、駆除に困ってた人がいて、深層水を分けてあげたら、完璧に解決したって喜んでたよ。」

話を伺いながら、フルーツトマトのハウスに向かいます。
「ハウスは全部で30棟あって、29のハウスでフルーツトマト、1棟でピーマン、残りの露地でトウキビやインゲンを育てているんだ。
ほらトマトの黄色い花が咲いてて、その下に実がみえるでしょ。へたのところに黄色い花びらが落ちずに残ってるのが見える?これを取り除くのにいろいろ工夫してるんだ。それから害虫ね、スリップスとかアブラムシとか、こいつらにかかるとトマトが病気にかかって斑点が出たり、ピーマンはへたから実の方に黒い模様が出たりするから、駆除しないと大変なことになる。昔は困ったこともあったけど、今は深層水を使っているから問題ないね。」

岩内深層水がこれほどの違いを生んでいる、不思議な脱塩水の浸透力を確信しながら、ハウスを巡ります。

「大事なのは土だね。ほら土の上に枯れた植物の茎が散らかってるでしょう。あれは去年のトマトの残渣を土に漉き込んでいるからなんだ。普通の栽培指導では、トマトの収穫が終わったら、残渣は集めて焼却処分っていうのが決まりなんだけど、僕は次のトマトの肥料の一部に循環してるんだ。菌がそれを分解して、次のトマトの栄養になっていく、わかるでしょ。
それから、土の菌についていうと、土の中にはいろんな種類の菌がいて、大きく捉えると、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類に分けられる。例えば、善玉菌が3、悪玉菌2、日和見菌が5、という割合だとすると、日和見菌というのは、周りに善玉菌が多いと善玉菌になるんだよね。反対に悪玉菌が多いと悪玉菌になるんで、だから善玉菌、まあ納豆菌とか麹菌みたいな菌だよね、そんな善玉を多くするようにしてるんだ。
そこの袋にBV有機って書いてあるでしょ、これが僕が使ってる善玉菌なんだけど、これを土に撒いて、善玉菌をいい塩梅にしてるから、植物が病気にかかりにくくなるんだよ。
土に苗を植えるときも工夫していて、表土を20㎝も起耕すると土のバランスがおかしくなるから、ほんとやっても表面の10㎝ぐらいだけ耕すようにしてる。ちょっと耕さないと、苗を植えられないからね。」
善玉と悪玉、そして、どちらか強そうな方につく日和見菌!? まるで人間社会ですね。

「深層水の脱塩水で薬を希釈すると、効果が完璧になって、それから薬の量も最低限で済むって、これはすごいことだし、これはもっと広めていくべきだよね。でもね、うちには軽トラと1,000リットルのタンクとフォークリフトがあるからできてるんだよ。深層水が広まらないのは、農家ごとにわざわざ岩内まで出かけて、大量に仕入れてくるというのが面倒だからだね。」

昔は深層水の普及のために、サポセンが軽トラを借りて農家に配達していたこともあったそう。農業利用がそれほど広まっていないのは、岩内町の農業自体がそれほど盛んじゃないからですね。

私は今年最初のフルーツトマトをいただき食べました。甘い!トマトの味が濃い!
「まだ家族でも食べてないんだよ。まさに今年の最初の1粒だよ。美味いだろ。」

馬場さんが作られるフルーツトマトの8割は本州に出荷され、その味や日持ちの良さで九州や沖縄からも反響があるそうです。馬場さんの10年以上の実績が海洋深層水の隠れた力を確信させてくれています。農業者の皆さんに伝わるといいなぁ。

 

取材日:令和3年6月3日