トマトに深層水の原水で負荷、甘さをマックスに!(真狩村)

今日は羊蹄山の南、真狩村でトマトを栽培されている佐久間さんを訪ねました。

佐久間さん、早速ですが、温室が3棟の農場なんですね。ご案内いただけますか?
「今、この3棟の2棟半で塩トマトを栽培していますね。全部で4500株くらい。2棟半の残りの半分は集荷、選別、出荷の作業場に使ってます。塩トマトっていうのはご存知でしょう、潅水に塩分を加えてトマトに負荷をかけ、果実の糖度を上げる栽培法ですね。実際普通に育てたトマトだと糖度5くらいなのが、塩の負荷で糖度が8以上まで甘くなるんですね。7月、8月が忙しいピークで、10月末から11月初旬、霜が降りるまでの作業です。
今年は7月の頭からほとんど雨が降っていなくて、とにかく日差しの強い日が続いたんで、太陽の熱で高温が続くとトマトの花が実をつける前に飛んじゃうんですよ。実をつけず花が落ちてしまう。毎年3トンほど出荷してますけど、今年は1割2割下がると思いますね。ちょっと温室に入って見てみますか。」

これは何ていう品種ですか?
「桃太郎という品種ですね。」
桃太郎ですか?桃太郎って聞くと、関西人にはもっと大きな普通のトマトとか岡山県のトマトの印象があるんですけど?
「そう、普通だと大きくなる品種なんですけれど、それに塩で負荷を与えると、これぐらいの大きさで大きくならずに熟して甘くなるんですね。塩トマトの試験を始めて、何年もかけてこの品種に行きついたんでしょうね。
それから、この辺では塩トマトは深層水で育ててるから塩トマトだって思ってるでしょう。違うんですよ。栽培の最初からずっと深層水を与えるわけじゃなくて、最初は、潅水にごく普通の塩を混ぜて与えるんですよ。深層水を最初からやるとミネラル分が豊富だから、植物が元気に健康的に育っちゃって、甘いトマトができないんですね。だからトマトが何段か実をつけながら大きくなり、収穫を繰り返しているうちに気温が下がってきて、トマトがちょっと疲れてきたかなっていうところで深層水を与えるんですよ。そうすると活力が戻るっていうのかな。トマトは成長してきて1段目の実が付くと糖度を図るんですけど、その後の実も同じ糖度を維持してくれるんで、そうなると深層水を与えても実の糖度は落ちないですからね。」

佐久間さんはもともと真狩の方ですか、トマト農家ですか?
「いや、私も関西で、夫婦とも滋賀県の出身ですよ。私は京都の大学を出て東京の商社に入って、札幌勤務になったんだけど、北海道で独立したいっていう思いがあって、31歳の時に新篠津村で農業の研修を1年間受けたりして農業の道に入ったんですね。それから真狩村に来て、ずっとパンジーやマリーゴールド、シクラメンなんかの花の苗を作っていたんですけど、バブルが過ぎると花が売れなくなって。それで、5年くらい前かな、蘭越の椿さんとか青柳さんとかが塩トマトに挑戦されてて、ニセコフルーツトマト倶楽部っていうのを立ち上げられてたんで、そこに入れてもらって塩トマトを始めたっていうわけです。」

この規模で塩トマトというのは経営的にどうなんですか?
「ああ、まず、ここでは塩トマトを作ってるだけじゃなくて、トマトの苗を作って売ってるんですよ。2月の下旬にトマトの種を6万粒くらい蒔いて、苗に育てて、春になると近くの農家やホームセンターで売っているんだけど、色んな品種のトマト苗を作ってますね。大玉やミニトマトなんか、15種類ぐらいですかね。塩トマトじゃなくて、ほとんどの苗は普通に育てられていますね。塩トマトを作る農家も真狩ではうちだけで、ニセコフルーツトマト倶楽部も5軒になっちゃってますね。
でも、その倶楽部の繋がりで、うちの塩トマトはほとんど関東のイトーヨーカドーに出荷してますね。この箱にはソルトーマって書いてありますけど、向こうでは“顔の見える野菜”っていうブランドがあって、そのなかのフルーツトマトで売られてますね。あとインターネットでも販売してますけど、スーパーでもキロあたり3千円くらいだし、ネットでも送料とか入れるとそれくらいになるのかな、まあ、富裕層向けの贅沢品ですね。」

 

塩トマトの栽培で一番苦労することって何ですか?
「うちは宅配便がトマトの入った段ボールを毎日集荷に来て、埼玉県の工場に送りとどけてくれていて、そこでパックに詰め替えて、シールを貼って関東一円に送り出してくれてるから、ここで大変なのは選果と箱詰めかな。毎日朝5時くらいから昼前までに作業して、店頭に並ぶまでに2泊3日くらいあるから、結構青いもので出荷して店頭でちょうど良い色になるように出荷するんですよ。あと販売も農協と関係のない販路がありますからね。北海道には他にも色々フルーツトマトの産地があるけれど、関西相手に出荷していたり、販路が競合していないから。
ここに並んでるのは、味はすごくいいんですけど、ちょっとこうやって尻ぐされになってるでしょ、これは出荷できないから、毎日家でこのトマトを食べることになりますね。その他に苦労といえば、今年は害虫がちょっと多いのが気になりますね。」

それならぜひ、岩内深層水の塩やミネラル以外の農業利用、つまりその浸透力を試してください。防虫剤を撒くとき岩内深層水のミネラル脱塩水を使って希釈すると、農薬の量が半分以下でも、葉っぱや花の奥まで浸みこんで、殺虫効果が最高になるんですよ。余市の農家なんかでその力がすごく評価されてるんです。ご存知でしたか?
「ああそうですか。それはいい事を聞きました。来年やってみます。」

よろしくお願いします。今日はありがとうございました。