食品利用

■食品全般

  • 味がまろやかになる
    近年の食塩は、イオン交換膜法によって製造されているため、ニガリ成分が少なく、味覚的には塩辛さが強く感じられる。
    深層水(海水)は、ニガリ成分を含んだまま使用することで、味がまろやかになる。
  • 発酵が促進される
    ニガリ成分によって発酵が促進され、中でもカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)、リン酸(PO4)が酵母や麹の活動を活発にする。
  • ミネラルのバランスが良い
    海水には60種類あまりのミネラルが溶け込んでおり、人間の生命活動に重要な役目を果たす必須微量元素がバランス良く含まれる。

■清酒醸造

○酵母の増殖が活発となり、雑味が少なく、すっきりとした、香り豊かな清酒が得られる・・・清酒(普通酒)の仕込み試験

  • 脱塩水に深層水を1~1.5%添加した場合、水道水よりも純アルコール収得量が増加し、上槽後の固形分率(粕歩合)が少なくなった。
  • 雑味の指標となるアミノ酸度、紫外部吸収が低くなった。
  • 酵母の増殖が活発になり、諸味の末期まで酵母が死滅しなかった。
  • 香気成分である酢酸イソアミルとカプロン酸アミルが増加した。

○麹の蒸し米分解にはカルシウムイオンが有効である・・・清酒麹に及ぼす影響

  • 吟醸麹、普通麹ともに深層水3%以上の添加で総合力価が高まった。
  • アミノ酸度は吟醸麹ではやや増加、普通麹はほぼ横這いの傾向。
  • カルシウムイオンは蒸し米への分解酵素の吸着を助ける。麹力価を高める塩類としては塩化カルシウムと酢酸カルシウムが効果あり。

○酵母の増殖にはマグネシウム(Mg)・リン酸(PO4)が寄与している・・・酵母増殖への影響

  • 無機イオン単独の場合は酵母の増殖は観測されなかった。
  • 無機イオンの組合せの影響を調べると、酵母の増殖にはマグネシウム(Mg)、リン酸(PO4)が不可欠であった。

○酒造場での実地醸造の結果、品質的に高い評価を得た

  • 実地醸造においてアミノ酸度の低下、香気エステルの向上、純アルコール収得量の増加、粕歩合の減少が確認された。
  • 諸味の溶解が促進され、アルコールの収率が高く、香味の上では雑味成分が少なく、香り高い酒が得られた。
  • 3か月貯蔵後の官能評価の結果、生酒15℃貯蔵、火入れ酒30℃貯蔵で高い評価を受け、品質的にも優れていた。

■味噌醸造

○アミノ酸が多く生成され、大豆タンパク質の分解が促進され、熟成が早く、おいしくなる

  • ホルモール窒素(アミノ酸)がより多く生成しており、大豆タンパク質の分解が促進されていた。
  • 仕込みから熟成までの期間が1/3程度短縮できた。

 

■醤油醸造

○アミノ酸、アルコール、乳酸の生成が多くなり、発酵が進み、こくがでる

  • 深層水仕込みは、プロテアーゼによる大豆タンパク質の分解が旺盛で、アルコール発酵、乳酸発酵も順調に進んだ。
  • ホルモール窒素(アミノ酸)の変化をみると、通常仕込みの諸味よりアミノ酸生成が順調に進んだ。
  • 酸度の変化でも酸の生成が多く、乳酸発酵が旺盛であった。
  • アミノ酸量はチロシンなど5種を除き、すべてが通常より多かった。

○エタノール濃度が高く、乳酸量が多くなる

  • 耐塩性酵母の活性化により香気成分のひとつであるエタノールの濃度が高まった。産膜性酵母(白カビ)の増殖を抑制した。
  • 耐塩性乳酸菌の乳酸生成が増加し、pH値を低下させることで、汚染細菌の繁殖を抑制した。乳酸は塩カドを取る(塩辛味を低減する)効果がある。
  • 深層水と諸味は親和性が高いと判断された。

 

■ビール製造

○麦芽の糖化効率を高め、酵母増殖やアルコール、香気エステルの生成を促進する

  • 酵母が発酵しやすいマルトース濃度が高くなり、デンプンの分解が促進され、最終製品のアルコール生成量が増加した。
  • 発酵初期の酵母増殖やアルコール生成の促進により、雑菌の繁殖が抑制されるとともに、芳香性の高いビールとなった。

 

■パン製造

○発酵が旺盛になり、膨張率が大きく、ふっくらとしたソフトなパンができる。

  • 深層水中のマグネシウム(Mg)、リン酸(PO4)がパン酵母の増殖を旺盛にし、膨張率の高い、ふっくらしたソフトなパンができた。

 

■漬け物製造

○まろやかな味になり、早く漬かり、歯切れが向上する

  • 深層水を利用した漬け物は、味がまろやかになった。
  • 漬け物への浸透性が高く、早く漬かった。